DON BOSCO CHARITY STAGE Vol.5

テノールな男たち

2003年5月12〜13日 東京オペラシティコンサートホール
2003年5月14日 Bunkamura オーチャードホール

主催:ドン・ボスコ チャリティステージ実行委員会 構成・演出:小池修一郎

PROGRAM

ACT1
1

東儀秀樹「光の序」(序曲)(東儀さんの演奏ではなく収録したものを流した模様)

2

朗詠「二星」 東儀秀樹、鈴木綜馬、井上芳雄、村井国夫

3

「マラゲーニャ」 ハープ演奏:マリア・ガンボツ

4

グノー「アヴェ・マリア」 鈴木綜馬、井上芳雄 ハープ演奏:マリア・ガンボツ

5

エリック・クラプトン 「ティアーズ・イン・ヘブン」 東儀秀樹(ギター弾き語り)

6

東儀秀樹「生きてきたぼくたちへ」 東儀秀樹(ピアノ弾き語り)

7

ジョン・レノン「イマジン」 東儀秀樹(ピアノ弾き語り)

8

東儀秀樹「I Am With You」 しちりき演奏:東儀秀樹

9

東儀秀樹「光り降る音」 振付:島崎徹 笙演奏:東儀秀樹 ダンス:草刈民代、高岸直樹

ACT2
1

「オーバーチュアー」(アニーよ銃を取れ) インストゥルメンタル

2

「ショーほど素敵な商売はない」(ショーほど素敵な商売はない) 村井国夫東儀秀樹、鈴木綜馬、井上芳雄

3

「Prepare Ye」(GODSPELL) 鈴木綜馬、井上芳雄

4

「なにか起こりそう」(ウエスト・サイド物語) 鈴木綜馬

5

「マリア」(ウエスト・サイド物語) 井上芳雄

6

「僕はスターライト」(スターライト・エクスプレス) 鈴木綜馬、井上芳雄

7

「君住む街角」(マイ・フェア・レディ) 井上芳雄

8

「踊り明かそう」(マイ・フェア・レディ) 鈴木綜馬

9

「The Prayer」(Italian Lyric by ALBERTO TESTA and TONY RENIS/Words and Music by CAROLE BAYER SAGER AND DAVID FOSTER) 鈴木綜馬、井上芳雄

10

「Try To Remember」(ファンタスティックス) 村井国夫

11

「I Can See It」(ファンタスティックス) 村井国夫、井上芳雄

12

「アルゼンチンよ泣かないで」(エヴィータ) 井上芳雄 振付:島崎徹 ダンス:草刈民代

13

「最後のダンス」(エリザベート) 東儀秀樹

14

「カフェ・ソング」(レ・ミゼラブル) 鈴木綜馬

15

「Go The Distance」(ヘラクレス) 井上芳雄

16

「Nella Fantasia」(Words and Music by FERRAU AND ENNIO MORRICONE)    鈴木綜馬

17

「世界に一つだけの花」 村井国夫、東儀秀樹、鈴木綜馬、井上芳雄

 (敬称略)


 

テノールな男たち

3日とも通いました(^_^;;)。
雅楽の東儀さん、ミュージカルの村井さん、綜馬さん、井上君、バレエの草刈さん、高岸さんというとても興味深い組み合わせで、どんなコンサートになるのかと思っていました。蓋を開けたら、なかなか贅沢な、趣向をこらした催しになっていました。

のっけから、東儀さん作曲の「光の序」がかかる中、烏帽子をかぶり平安貴族の扮装(村井さんはコスプレとおっしゃいましたが(^_^;;))をした東儀さん、村井さん、綜馬さん、井上君がしずしずと舞台に入ってくるではありませんか!そんな格好で織姫と彦星をテーマにした歌を朗詠されるものですから、いきなり気分は中世日本へと飛んでしまいました。1曲で扮装をといてしまったのがもったいなかったです。本当に。

村井さんはゲストのはずなのに(^_^)、司会として楽しいトークで観客をわかせて下さいました。
「マラゲーニャ」というスペインのマラガ地方(『壁の中の妖精』の舞台になったところですね)の民謡をハープで演奏したのも、異国情緒と優しいハープの音が混じりあってなんとも不思議な空気をかもし出していました。(フラメンコっぽい曲はどちらかというとギターの印象が強いのものですから)

東儀さんの演奏をナマ聴くのも初めてで楽しみでした。しちりきや笙といった、あまりなじみのない楽器を使った音楽を、ポピュラーなものにしてしまった東儀さんの功績は大きいですね。しちりきの暖かい音も気に入りましたが、笙の音色も繊細で、きらきらした光の粒が見えそうな幻想的な雰囲気で、すごく魅力的だなと思いました。笙の演奏をバックに踊る草刈さんと高岸さんのダンスが、またその世界に合っていて、切なくてかっこいい。

東儀さんはギターとピアノの弾き語りもされました。雅楽以外は独学だそうです。ジョン・レノンを歌っちゃうのか〜とびっくりしたら、第二部はこんなものではなかった。トート様の「最後のダンス」を歌ってしまわれるとは!!しかも黒のロングコートにシルバーのアクセサリーつき(ちなみに衣装は自前だそうで。ひょ〜!)。ロックもお好きだそうですが、ファンサービスもよい方だなあと思いました。雅楽だけでなくなんでもそつなくこなされる方だったのですね〜。

綜馬さんと井上君は曲数が多くて、ファンにはこたえられなかったのではないでしょうか。
綜馬さんはどの曲も印象的でしたが、やはり「カフェ・ソング」が嬉しかったです。英語だったので日本語でも聴きたかったです。終わりの方で歌われた「ネラ・ファンタジア」も綺麗な曲でした。「ミッション」という映画で使われた曲だそうですが、覚えていなかったわ。広がりのある美しい旋律が綜馬さんに合っていて素敵です。

井上君は、若者らしい「マリア」が嬉しかった。「マリア」は好きな曲で、井上君の声にも合うと思います。「アルゼンチンよ泣かないで」も、草刈さんのダンスと井上君の歌が合わさって、とても魅力的でした。清い美しい雰囲気が忘れられません。

村井さんについてですが。実は初日、私は3階の舞台真横の席で、出演者の頭頂部と背中しか見えなくて、せっかくのエル・ガヨの2曲も堪能できなかったのでした(3階は音も悪かったし)。2日目は1階の前の方でしたので、雪辱戦のつもりでエル・ガヨの2曲は全身目と耳にして臨みました。

いや〜、もう腰が砕けちゃって(^_^;;)
井上君のマットが青年のすがすがしさとまっすぐな美しさを表すとすると、村井エル・ガヨは酸いも甘いもかみわけた大人の渋さと迫力が爆発!全身黒づくめで、2日目と3日目は「I Can See It」の時に黒い帽子もかぶられました。「トライ・トゥー・リメンバー」の甘く優しい、でも深みのある歌い方で溶け、「I Can」の凄みとワルな雰囲気、大人の余裕をただよわせた空気に、全身粉砕骨折。「I Can」の始めの方で、井上君の肩をぐっとつかむところで、すでに腰に来ました(^_^;;)。ルイーザも落ちるわ〜。

3日目は3階でも真横ではなく、センターブロックの隣のブロックで見ました。「I Can」の半ばで井上君の後ろで村井さんが椅子に座り、客席に背中を向けている時、ライトが当たって村井さんの帽子をかぶった上半身の影が、椅子の後方にできていました。上から見るとマットの後方の黒づくめエル・ガヨとエル・ガヨの影が、マットにのしかかる不安や恐怖やありとあらゆるよくないものの象徴のように見えて、一枚の完璧な絵のようでうなりました。
村井さん、今からでもエル・ガヨおできになると思いますよ。ずっとおやりになりたかったそうですが、村井さんにぴったりだと思います。でも、本当におやりになったら、毎回腰がくだけて大変かもしれない・・・(^_^;;)

2日目は紀宮様もご高覧され、宮様と同じコンサートに同席できたという素敵な思い出もできました。最後にSMAPの「世界に一つだけの花」を全員で歌ってコンサート終了。とてもよい雰囲気で終わったと思います。

素敵なコンサートをありがとうございました。また村井さんがコンサートに出演して下さるといいですね(今度はスターズ歌って欲しいです)。

P.S.
あと面白かったのが、開演前や休憩の終わり頃、村井さん、東儀さん、綜馬さん、井上君による、写真撮影や録音の禁止、携帯電話や音の出るもののスイッチを切るようにと、注意を促すアナウンスが場内に流れたこと。これはかなりなファンサービスですよね。

3日目だけ、4人のキャストがミュージカルとの出会いを語りました。井上君は綜馬さんの「キャッツ」、綜馬さんは青年座の「ファンタスティックス」(高畑淳子さんがルイーザだったらしい。濃いルイーザだなと村井さんにつっこまれていました)、東儀さんが映画の「サウンド・オブ・ミュージック」、村井さんが子供の頃お母さまに連れられて見に行かれたMGMのミュージカル映画の数々だそうです。

平安コスプレの時の木でできた黒い靴、はきにくいそうです。2日目に上手に村井さんが去る時、ガッポガッポと大きい音をたてていたので、そんなに偉そうに歩かなくてもと思いました(^_^;;)。3日目、朗詠の後ハープのマリアさんを迎えにいこうとした時、右側の靴が脱げて舞台に残ったまま数歩歩かれました。わざとにしても、うまいなと思いました(^_^)。

(03.5.17)

 

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