「ジャンヌ」
―ノーベル賞作家が暴く 聖女ジャンヌ・ダルクの真実―

2013年9月 世田谷パブリックシアター

簡素な装置の中で語られるジャンヌ・ダルクの生きざまは、ごく普通の少女が天啓を受けて、どんなふうに人々の注目を集めていったかをていねいに描きます。

終わりの方(各人の「御身を〜」のところ)では魂が揺さぶられる思いがしました。この舞台のキモはエピローグですよね。バーナード・ショーはエピローグが描きたかったんだと思いました。ジャンヌは後世に名誉を授けられても、実際にそばにいたら誰にとっても面倒臭い存在なのだなあと実感。

コーション司教の村井さんは、フランス人だけれどイギリス寄りで、ジャンヌを火刑に導いた張本人と言われています。情に流されず、けれども徳の高い人という感じがよく出ていて、難しい役を好演していると思いました。台詞が長くて美声がよく通り、存在感は抜群です。今井朋彦さんとの会話のシーンは緊張感があって大変政治的です。衣装も素敵。教会の権威とか、百年戦争のこととか、当時のことを勉強していないと、ちょっと観賞するのがつらい舞台かと。

宗教裁判は熱い。教会の権威を背景にやり取りする役者さんたちのキャッチボールが素晴らしい。村井さんと中嶋しゅうさんがよいです。泣かせるエピソードの中でも笑わされたり、現代に問いかける内容もあり深いです。終わりの方で出てくる村井さん好きかな(^-^)

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