今度は愛妻家

2014年4月 東京芸術劇場シアターウエスト

倦怠期の夫婦の会話の中に、恐るべき事実が浮き上がって来て、ラストはひたすら涙、作劇的にずるいところがあります。一種のファンタジー。

自分と重ねて観る芝居ですよね。荒唐無稽と思う人もいるかもしれないけれど、もっと根っこの部分で感じてほしい。ダメなところも含めて、登場する人物皆愛おしい。

オカマママの文太(村井さん)が抱えてるものが大きくて、村井さんはそれを見事に素敵に演じられて舞台を深みのあるものにし、かつ笑わせていました。文太が出るだけで 舞台がぱあっと明るく、温度までも2〜3度上がる感じがします。村井さんは二役で、弁護士もやっておられるのですが、文太と全然違ってて、どっちも面白くてすごいなあと思いました。後半は出演者全員が泣いていて、客席も泣いていてもう大変でした。ハンカチ必須。

瀬奈さんが個人的にちょっと苦手でしたが、このお芝居では大変ナチュラルで、ラストの笑顔が忘れられません。葛山さんは、このお芝居としてはちょっとかっこよすぎるかな。演技は好きですが。

見終わった後、「家族を大切にしたい」「普通と思っていたことがなんて大事で、どうして今まで気付かなかったんだろう」と思わせてくれるハートフルなお芝居でした。


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