なぜ今、村井さんなのか

 

なぜ今、村井さんなのか?それを語ろうとすると、週刊村井国夫という本ができてしまう・・・。本当は村井さんについて、あずなが一番語りたいことは同人誌に全部書いてあるので本を見ていただくのが一番なのですが、まずは、村井さんファンになったいきさつからいってみましょう。

あずなは昔から時代劇はわりと見ていたのですが、現代劇はあまり見ていなくて(たまに火曜サスペンスを見るくらい)、つい数年前まで村井さんのお名前は聞いていても実はお顔をよく知りませんでした(ああ、なんてもったいない)。

4〜5年前NHKの夜の連続ドラマで、天海祐希の父親役でお出になっている村井さんを見たことがあって、村井国夫という名前を意識したのはその時だったか…眼鏡をかけた真面目で気弱そうなやもめのお父さんで、確かリストラされても家族に言い出せなくて家出しちゃったりする役でした。今考えるととても珍しい役柄なのでもう一度見たいですね。でも家出した時に公園かどこかで知り合った娘より若い女性を連れて帰って、「再婚する」とか言い出してひと騒動ありましたね(^_^)。

あと、NHKの「音楽夢コレクション」だったかな〜。白い上着でお出になって「星に願いを」を素晴しい歌声で歌われていて、「村井さんってこんなに歌のうまい方だったのか」とびっくりした記憶があります。

'98年6月に帝劇で「レ・ミゼラブル」を見た時のことです。レミは初演を見たあと12年も見ていませんでした(初演の鹿賀さんのジャベールが好きだったので、もうジャベールはおやりにならない、今度は村井国夫という人がやるらしいと聞いた時、もう私のレミは終わったと思いました。ああ、大失敗・・・)。

鹿賀さんとは違った、とても骨太で(鹿賀さんは線が細い感じだった)武士のようなカッコよさと男くささと威圧感を漂わせたジャベールがそこにはいました。鹿賀さんのジャベールがナイフやレイピアのような感じだとしたら、村井さんのジャベールは吸い込むような光を放つ日本刀かもしれません。のびやかな「スターズ」に聞き惚れ、魂の叫びのような「自殺」を聞いてショックを受けました。

ただこの時はまだ村井さんのことをよく知らなかったので、すぐにははまらなかったのです。7月のレミの千秋楽でレミに転び、レミの赤ラベルCDを聞きまくってCDの解説書を読んだりしているうち、村井さんのことが気になりだしました。過去の舞台を調べると、「蜘蛛女のキス」のモリーナ、「危険な関係」のヴァルモン、「オセロー」のイアーゴーなど、ジャベールはもちろんのこと妙にツボにくる役や舞台にお出になっているのです。しかもレミが終わったあと8月に大阪で「ハムレット」をおやりになっていて、村井さんの役がクローディアスだったのです。「はまるかもしれない」と思ったのはこの時でした。

実は村井さんのことを知らなかった約10年前、私はある役者さんのファンでした。テレビや映画で満足していて、追っかけをするところまではいきませんでした。舞台そのものもチケット代が高いのであまり行く習慣がなく、もちろんファンレターも書いたことがなく、そしてそのことを後悔することもありませんでした。テレビのニュースでその役者さんの訃報を聞くまでは。

胃ガンでした。享年55歳。入院されていたことも知りませんでした。亡くなって初めて、私がどんなにその役者さんが好きだったかわかりました。舞台を拝見することだってできたはずなのに、どうして行かなかったんだろうと。今どんなに見たくても、もうその方はこの世にはいないのです。

その方がお元気だったら「ハムレット」のクローディアスをやるはずだったと、あとになって知りました。村井さんのクローディアス。どうしても見に行かなければという思いに駆られて、9月のサンシャイン劇場の「ハムレット」のチケットを買いました。あまりよい席ではありませんでしたが、ぎらぎらした男っぽさを感じさせるクローディアスでした。つい2か月前に見たジャベールとは全く違ったキャラクターになりきった村井さんでした。

'99年のレミは通いました。このあたりからは同人誌のマンガが詳しいのですが、とにかく見ました。好きな役者さんの舞台を見て、拍手をしてあげられて、さらに楽屋待ちをしてじかに「よかったです」言ってさしあげられるということが、どんなに素晴しくて幸せなことか。できたはずなのにしなかったことであんな思いはもうしたくないと思いました。

そして私のカンは当たっていました。おそらくは村井さんが求められる役、おやりになりたいものは、私が見たいものであるということです。これはとても幸せなことです。この世にたくさん役者さんがいる中で、私が本当に見たいと思うものを、偶然村井さんという方が舞台で素晴しい形にして見せて下さるのです。

素直にかっこいいから、お声がすてきだからということもありますが、それは村井さんの役作り、緻密な演技、歌の素晴しさがあってこそです。表現したいものをどこまで形にできるかは、その役者さんの努力と技量です。全く違う役を見事に別人のように演じ分けて下さいます。舞台を拝見してテレビのイメージがいかに作られたもの、あるいは一面にすぎないのかがよくわかりました。

さて、なぜ今、村井さんなのか。ツボにくるからです。確かな技術と、何よりもハートがおありになるからです。そして、後悔したくないから舞台に行きます。

もしこのサイトを見て下さっている方で誰かのファンをしている方、今からでも遅くありません。ナマでその人の公演を見られる機会があったら、行かれるうちに行って見ましょう。あの時見ておけばよかったとあとで泣かないために。

そして、もし村井さんに興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非舞台をごらん下さい。出合いも一つの運命です。新しい世界が開けるかもしれませんよ。

P.S.
ついでながら。村井さんのユーモア精神ってすてきだと思います。バラエティやお料理番組に村井さんがお出になっているのは、村井さんのユーモア精神が認められているからですよね。これからも楽しいギャグで私達をなごませて下さい♪

 

The 村井國夫